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《愛田健二(1967) 『琵琶湖の少女』》

 名古屋西高三年、『誘惑』の吉永先生と同じアパートに暮らしていた暗い日々、唯一私の心に入りこんできた明るい曲。昼間のラジオから、
「こんにちは、愛田健二です。今度『琵琶湖の少女』という曲を出しました。聴いてください」
 という明るく静かな声が流れてきた。愛の歌にふるえる時期だったので、とんでもなくすばらしい名曲に聞こえた。その後、大学時代にカラオケで歌ってみたが、佳曲に思われなかった。愛田健二の声と歌い回しがすぐれていたのだった。この歌を聴くと、吉永先生を打擲した苦しい暴力の日々を思い出す。