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《ピーターとゴードン(1964) 愛なき世界》

 

 名曲というわけではない。1964年に青森へ流された直前にはやっていて、ラジオのヒットパレード番組からよく流れてきた。思い出を確認するために取りあげた。デュエットらしからぬドラマチックなリズムとハーモニーは、ポール・マッカートニーの作曲のせいである。イギリスでもアメリカでもヒットチャートで一位を獲得した。レコードは買わなかったし、テープレコーダーにも録音しなかった。

 愛のない世界からいずれ私は脱出する、だからいまは私を愛のない世界に閉じこめておけ。歌詞が勝っている。作詞をしたジョン・レノンはこの自作の詩を痛く気に入っていた。彼の言いたいのは、理想の愛にめぐり会うまでは、まやかしの愛で孤独を堪能するんだ、放っておいてくれ、ということだろう。私はこの詩をプレイボーイの悲しみのモノローグと取っている。作曲したポールは自分に向かないと考えて、数年温存したのちに手放した。

 私は純一な情歌以外はライブラリーに入れない。歌詞重視の曲は、聴後感が物足りないからである。ポールもそうだったにちがいない。