《187（1997）》

　監督　ケヴィン・レイノルズ　　主演　サミュエル・Ｌ・ジャクソン

　教師とは何か？　教師としてしか生きられないとはどういうことか？　教師は命懸けで生きられるか？　つまらない問いかけだ。「教師」を「相撲とり」とか「母」とか、数万の単語に置き換えてみればわかる。

　187（ワン・エイト・セブン）とは、刑法の殺人罪を示す条項である。高校教師トレバーは、ある生徒を落第させたことから、教科書に187と落書きされる。直後、生徒に刺され、瀕死の重症を負う。彼はめげず、別の荒廃し尽くした高校へ代用教員として赴任する……。

　要点は一つ。更生不可能な生徒の指導は、みずからの死をもってする。キリスト。生き方の美学よりも、命のほうが軽い。ジーザスを信奉する国ならではの結論だが、私の幼いころからの信条でもある。

かくなる覚悟は職種にかぎらない。死ぬまで、あるいは殺されるまで、命を軽んじて生きなければ、何ごとも成就できない。

ロシアンルーレットの引き金を引くときの、くだらないやつのために死んでやる、というトレバーの科白を堪能されたし。