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《ハスラー(1961)》
監督 ロバート・ロッセン 主演 ポール・ニューマン
これぞ珠玉のA級映画。
卓越した技芸、そこからくる慢心、別の卓越者からの打撃、敗北した天才に対する凡人の巧みな讒謗(ざんぼう)。讒謗は劣等感と嫉妬からもたらされる。天才に失意を与えるまで止まない。失意の天才を救済するために女神が現れる。天才は技芸を超えた愛を知る。嫉妬に狂う讒謗者は、天才の救済を許さず、女神を奪う。失意や傷心では満足せず、絶望を与えるまで止まないのだ。しかし、天才はどんな絶望からも再生する。そして最終的勝利。
全編を氷のような真実が貫いている。天才は嫉妬のせいで、生きる途に障害物を置かれるが、女神の助けを借りてかならず乗り越えなければならない。氷の哲学だ。
小児麻痺の女神サラ。このパイパー・ローリーという女優に逢いたくて、私はこの映画を何度も観る。
「バート・ゴードンてやつに、おまえは落伍者だと言われた」
「あなたは勝利者よ。あなたは彼にないものを持ってる」
天才を蘇生させる女神のご託宣だ。