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《小林旭(1959) 『十字路』》
十歳、冬。
私に友情の永遠を教えた寺田康男が、夜道で初めて私に歌ってくれた曲。
私たちのその後の悲しい別れを予感させるような歌だった。
夢だもの 夢だもの もうかえらない
しあわせに しあわせに 暮らしておくれよ
ああ 涙涙涙 見せまいと
唇かたくかみしめる 暗い十字路
小四から中三まで、彼と五年間すごした。あのすがめるような目と、唇を噛む癖を思い出すだけで、目が熱くなる。その年の『ハイウェイの男』という映画の挿入歌だったようだが、小林旭が大好きだった康男が、そんな裏映画まで観にいっていたのかと思うと切ない。
この曲のオリジナルは、まず入手できないだろう。そのほうがいい。思い出が耳の奥で永遠になる。歌い直しは聴きたくない。