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《南部鼻まがり(1988)》


制作 岩手めんこいテレビ  脚本 富川元文  演出 松平保久
主演 ジョニー大倉 本名(ほんな)陽子



 1988年の年末に、ふるさと創生企画の一環として、日本各地のテレビ局が単発の二十分ドラマを制作した。この一本だけが名作だった。
都会で挫折してUターンした青年に、小学校三年生の女の子が惚れるというもので、その純愛ぶりに涙を止められなかった。九歳の里子役の本名陽子の演技が絶品。この二人は結婚しなければならない! と狂おしいくらいの気持ちになった。この系統の映画は、グロリア、レオンぐらいしか浮かばない。
 ジョニー大倉は、帰郷してからは、職にも就かず、どうもかつての恋人とよりを戻そうと執心のようだ。里子は彼のいく先々について回る。彼の心を牽きたくて、鏡台に向かって口紅を塗ってみたりもする。
ついに、ジョニー大倉はモトカノから永遠の訣別を告げられる。結婚するというのだ。
「オラじゃ、だめ?」
と問う本名の純愛に触れて、ジョニー大倉が焼きイカをかじりながらボロボロと涙を流す場面には慟哭さえした。
テレビドラマでお勧めは、もう一本、インパクトの強烈な、所ジョージ主演の東大一直線(1989)がある。四流大卒の高校教師が東大受験専門進学校にやってくる、という設定を聞いただけで、想像力の翼が羽ばたくだろう。


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