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《フランキー・アヴァロン(1959) 『ヴィーナス』》
これほど耳に馴染むバラードもめずらしい。名曲はすぐれた前奏が特徴だが、この曲の前奏も一度聴いたら生涯忘れられないものとなる。アンディ・ウィリアムズやトニー・ベネットとはちがって、ドラマチックに歌い上げないマイルドなストレート唱法。
かつて、線路や沿線風景だけを一時間も映す変わったテレビ番組があったが、そのとき夕暮れの車窓のバックグラウンドにこの曲が流れた。身震いした。
その後フランキーは映画俳優になったが、鳴かず飛ばず。しかし、バラードは歌いつづけた。私にはそのアンソロジーがすばらしい文化遺産となっている。
脈絡のない話だが、彼の風貌に菅原文太を足せば、早稲田時代の友人松尾卓によく似ている。