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《にしきのあきら(1971) 『愛があるなら年の差なんて』》

 

 絶望的にさびしい歌詞ああ、涙のない目で泣いて、貴女と別れた。メロディは異次元のできであり、声も異次元でふるえている。名曲、名唱。これ一曲で、彼は私の記憶に残った。野口五郎の名前が『甘い生活』で記憶に残ったように。

 にしきのあきらには、もう一曲、『もう恋なのか』という佳品があるが、取り沙汰されない。ここまで日本の曲を見てくると、佳い作品はヒットしないということがわかる。愚にもつかないヒット曲……にしきのあきらは『空に太陽があるかぎり』だし、村下孝蔵は『初恋』、伊東ゆかりは『小指の想い出』、高山厳は『心凍らせて』、スサーナは『アドロ』、長谷川きよしは『別れのサンバ』だ。おそらくどれもこれも、だれの琴線にも触れない曲ばかりだろう。名曲でないことが瞭然としている代物である。ヒットさせるのはだれか。わからない。その謎は永遠に解けないだろうし、解きたくもない。土台、感覚の閾値が私とちがう人たちの愛でるものには関心がない。ただ、傑作の創造者を気の毒に思うばかりである。

http://recochoku.jp/song/S21477696/

 






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