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《尾崎紀世彦(1971) さよならをもう一度》



 61年の同名の映画をイメージして作られた曲だろう。映画コーナーにも紹介した、アンソニー・パーキンスとイングリッド・バーグマンのあの名画だ。

  尾崎紀世彦は、アイ・ジョージ以来の、ダイナミックな発声をするポップ・シンガー。子門真人よりもさらにダイナミック。和製トム・ジョーンズと言われた。71年の春に発売された『また逢う日まで』は好きでなかった。夏にこの曲が出た。名古屋の今池のパチンコ屋でひと月半バイトしたとき、有線から流れ出てきたこの曲と和田アキ子の『天使になれない』を心に留め、東京に戻ってから手に入れた。上石神井の友人を訪ねるさびしい道にあった小さなレコード屋で買った。その友人はステレオを持っていなかった。それに思い至ったときの夜道の暗さを妙に憶えている。

 この種のオペラふうの声を出す歌手に特有なのは、ときおりひっくり返るように出すファルスである。トム・ジョーンズやエンゲルベルト・フンパーディンクはそれが聴きものだ。ただ、腹から出す声は好みでないので、私のライブラリーは、喉で叫ぶ泣き節のハスキーな歌手で満ちあふれている。