kawatabungaku.com
川田文学.com 

 《島和彦(1966) 雨の夜あなたは帰る》



 私のカラオケの定番で、20代から30代にかけてよく歌った。鬱々とした静かな曲で、煙草を吸いすぎていても喉に負担なく歌えた。島和彦とはどこのだれとも知らず、名古屋西高時代にラジオから流れてきた曲を自然と憶えた。私のカラオケの定番には、時代も人も知らず、そんな感じで覚えた曲がかなり入っている。
 雨や霧にまつわる曲は佳曲が多い。橋幸男『雨の中の二人』、井上ひろし『雨に咲く花』、スプートニクス『霧のカレリア』、西田佐知子『アカシアの雨が止むとき』、ジョー・スタッフォード『霧のロンドン・ブリッジ』、山田真二『哀愁の街に霧が降る』、カスケーズ『悲しき雨音』、クールファイブ『長崎は今日も雨だった』、小林麻美『雨音はショパンの調べ』、フランク永井『夜霧の第二国道』、ちあきなおみ『雨に濡れた慕情』、カーペンターズ『雨の日と月曜日の朝は』、ジュリー・ロンドン『ミスティ』。ざっと思いついただけでもこんなにある。
 雨や霧は、涙のイメージやブルーな気分を喚起するばかりでなく、音楽家の創作欲を刺激するのだろう。おかげで私たちは、雨や霧の日を嫌悪せずに芸術的な気分ですごせる。