《ザ・タイガーズ(1970)『都会』》
アメリカから戻った年の十一月、飯場の部屋で受験勉強をしていたとき、かけ流しのラジオから聞こえてきた。沢田研二が響きのいいサビのある声で歌っていた。タイガースなど鼻先で笑っていたグループだったが、思わずうなだれて聴きこんだ。歌詞が上出来で、涙が流れた。泣くだけの経験が私の中に蓄積されていた。
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