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《ザ・クレスツ(1959) 『シックスティーン・キャンドルズ』》

 この歌ばかりは、クレスツでないとダメ。

 セックスのにおわない清純なドゥーワップ。
 60年代特有の、タタタ、タタタ、のリズム。心臓の鼓動。

 19歳のジョニー・マエストロは、みごとなコーラス陣を背に、ファルセットと聞きまがう地声と叫びを駆使して、純愛の歌を天まで昇らせる。

 クレスツは、黒人三人、イタリア系白人一人という史上初の人種混合グループで、ジョニーはメンバー中の、その一人の白人だった。
 醇雅な彼のテナーには、普遍的に老若の心をつかむ透明さときびしさがあり、ルーサー・デイクスンの作曲にも恵まれて、二年間にわたってヒットチャートを走りつづけた。

 翌年、ジョニーがソロ歌手に転身してグループを抜けると、クレスツは楽曲にも恵まれず、文字通り抜け殻になった。

 この曲と、ジョニーが、いかに偉大だったかがわかる。






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