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《キャス・エリオット(1968) 『私の小さな夢』》

 ママス&パパスのメンバーであるママ・キャスの独唱曲。
あの太った女性だ。

日常的に苦しんでいた名古屋西高三年のときに、友人の家で聴いた。
ベトナム戦争で現地に派遣された前線兵のあいだで人気ナンバーワンの曲だったと聞いて、不思議な気がした。胸にしみるバラードだったからだ。
死を目前に控えた兵士たちの静かな心を思いやった。
 
1930年代の抒情を濃厚にたたえた名曲中の名曲。これまた肉付き豊かなケイト・スミスのピアノ弾き語りや、やはりぽっちゃり型のエラのジャズボーカルもかなり聴かせるが、キャスには敵わない。

力をこめず、静かな湖水のように歌いはじめる。
ベース、ドラムがそっと追いかける。
とつぜんのライトブルーの高波。コーラスのさざ波。ベース、ドラムの高まり。
凪ぎ。
40年の歳月をかけて磨き上げたクリスタル。