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《鞄を持った女(1961)》

監督 ヴァレリオ・ズルリーニ  出演 クラウディア・カルデナーレ

 英語のツボにも書いた、クラウディア・カルディナーレ主演の古典的傑作映画。内容はクラブ歌手と貴族の純朴な若者との恋。女は遊び人に捨てられ、その遊び人の弟が熱愛する。弟の将来を案じて女が身を引く。取り立てて云々するほどの顛末はない映画だが、ハスキーボイスのクラウディア・カルディナーレの輝きが並外れているので、彼女に浸りたいときはかならずこの映画を観る。

 彼女を初めて見たのは、アモーレ・アモーレ・アモーレ・アモレミオの主題歌で有名なイタリア映画『刑事』だった。以来、彼女が西洋人女性の美の原点になった(日本人は京マチ子)。

 膝小僧の汚れた女の子 ―少しやつれ、落ちぶれた雰囲気がよく似合う。原石が輝いている雰囲気なのだ。絶世の美人だが、8 1/2、サンタモニカの週末、家族の肖像等、華やかな役どころを演じると違和感がある。つまり、カラーフィルムが似合わない女優である。淪落した役回りでは輝きを失うソフィア・ローレンとは正反対のイメージと言えば当たる。