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《ナタリー・コール(?) ノン・ディメンティカ》
おそらく古いカンツォーネだろう。小学校時代に耳に染み付いていたメロディを忘れられず、「ノンディメンティカ」という歌い出しだけを手がかりに、四十歳になんなんとするころ、教室の学生たちに向かって探してくれるように頼んだ。
三カ月もしたころ、石戸谷くんという学生がナタリー・コールの『アンフォゲッタブル』というCDを届けてくれた。そこに入っていた。ノン・ディメンティカは、「忘れないで」という意味らしかった。曲想もメロディもすばらしかった。
それをきっかけに石戸谷くんは、タモリ倶楽部の録画ビデオを百本以上送ってよこしたり、私の乾燥皮膚の治療薬としてウルパールを送ってよこしたりした。私にちなんで「タクちゃん」という名前をつけた愛犬が、家の前で車に腹を轢かれて死んだという悲しい報告をしながら、目を泣き腫らしていたこともあった。
彼はどうしているだろう。いまもノン・ディメンティカを聴くと、石戸谷くんや、あのころの学生との交流を思い出す。