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ワンス・アポン・ア・タイム(1991) さよならの向こう側

 

 九十年代、私は四十代。私の家に遠路はるばる学生たちが出入りしていたころ、彼らに聴かせた曲をこれから百回以上にわたって紹介していきたい。

 私の気に入った曲は、いまは廃盤になっているか、いくら探しても調べられないものが苛立つほど多く、第一回目の今回も、ワンス・アポン・ア・タイムという非常に歌のうまい、まったく無名の女性三人グループ(トーニャ・タウンセンド、ロビン・ベイン、ジーナ・カトサンドリス)がかつて存在した、と紹介するに留めるしかない。
 彼女たちのスプリング・イズ・ジャスト・アヘッドというアルバムには日本の歌が満載されているが、中の一曲が、山口百江が唄った『さよならの向こう側』だ。英語で唄っている。60年代ポップスふうのアレンジで、元歌より引き締まったできだ。リズムがあると抒情が引き立つ。
 女性グループの万古変わらぬ和音の美しさを堪能したら、あらためて1950年代までの女性グループへ遡りながら四十年間を散策することをお勧めする。