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《リンドバーグ(1991) GLORY DAYS》



 91年にたまたま有線から拾って、名曲としてテープに入れておいたが、歌い方がリンドバーグとわかるのみで、曲名がいっさい不明だった。28年後の今月、ついに判明した。その間、ラジオでもテレビでもいっさい流れたことがなかったこの曲を、私のHP作成者が長年歌詞検索をしてきて、ついに今月、韓国人がyoutubeアップしたことを突き止めた。日本のマスコミも三十年近く流したことのなかったこの曲を外国人が注目したのだ。例の林大介くんですら探し当てられなかった、リンドバーグの最高傑作である。なぜリンドバーグ自身が黙っていたのだろうか。彼らにはこの一曲しか傑作がなかったのに。

 歌はカラッ下手、メロディは平凡だが、何よりもリズムが秀逸である。いつものとおり、歌詞を聴いてはならない。歌詞は才能の分野に属するものなので、メロディ、リズム、歌詞が一体となって昇華することはまずない。啄木の短歌にメロディとリズムを付せない所以である。音楽はメロディあるいはリズムがすぐれていれば及第としなければならない。たしかにその三位一体を果たした曲もこれまでいくつか紹介してきたが、何万、何十万に一曲である。

 60年代の、タッタッタッタという心臓の鼓動のリズムは、モーツアルトのピアノ協奏曲21番第2楽章に源があると私は考えている。かならず傑作になる。井上揚水や山下達郎の作曲がほとんど的を外さないのはそのせいである。60年代とは言え、ボブ・ディランのような無旋律、歌詞異様重視の先人に範をとる音楽家は、駄作を生み出しつづける。音楽を芸術ではなく社会思想と誤解しているからだ。そういう底の浅い音楽人はかならず神として崇められる。